「変数」を使ってみよう

大量のカードファイル等を作成

Illustratorを使用して、名刺やポストカードなど、「同じデザインで、内容が違う」印刷物などを作成しなければならない場合があります。

枚数が少なければ、コピー&ペーストで部分的な差し替えをするか、アートボードの複製などを活用して処理していくことが可能ですが、10枚、20枚を超えるような枚数を同時に作成しなければならないような場合、すべて手作業で行うと時間がかかりますし、手作業によるミスがおきる可能性も高くなります。

Illustratorには「変数」機能があり、最初にデータを揃えてしまえば、ほぼ自動的に作成していくことができます。案件によっては、便利な機能なので、ぜひおぼえておくといいでしょう。

 

変数の仕組みを覚えよう

変数を利用するには、「変数パレット」を利用します。まずは、どのように動作するかを確認していきます。

1、フォーマットデータを作成する。

 1、部署
2、役職、肩書き
3、漢字の姓名
4、ふりがな(今回はアルファベット)
5、会社名、住所、電話番号(※ここはすべて共通)
6、メールアドレス

共通部分以外はすべてダミーを挿入しておきます(わかりやすい文字を入れておきましょう)

 

2、変数データを入れていく。

ダミーテキストを選択したら、変数パレットのメニューから「テキストを動的に設定」>パレットに「変数1」が登録されます。


テキストデータを変更すると、変数パレットの中の文字も変わります。


ダミーテキストの部分をすべて同様にして入力していきます。
入力が完了したら、左上のカメラのアイコンをクリックして「キャプチャー」します。
>データセット1として登録されます。



データセットを切り替えることで、版面が切り替わります。

変数を使って版面が変わっていく仕組みが理解できたと思います。
ただ、この方法だと、何十枚~何百牧といった大量のデータを差し替え印刷するのは大変だと思います。
次はリストデータを読み込んで処理していく方法、あわせて画像やカラー変更していく方法を説明していきます。

 

リストデータを読み込んで作業する

illustratorの変数機能では、XMLデータかCSVデータを読み込んで作業することが可能です。
ここでは、Excel等の表計算ソフトでCSVデータを作成する方法を説明していきます。

1)変数データを用意する

変数のデータはExcel等の表計算ソフトを使って入力(作成)していきます。
○1行目には変数の見出しを入力します(部署 役職 名前~)
○2行目以降にそれぞれの個人データを入力していきます。

 

2)変数データをかき出す

Excel等の表計算ソフトからCSVファイル(カンマ区切り)で保存します。
保存するときは、Unicode(UTF-8)を選択します。

※古いバージョンのExcelだと保存できない場合があるので、ほかのアプリ等を使用して保存します。
Macの場合はNumbersを使うといいでしょう。



3)illustratorの「変数パレット」に読み込む

CSVファイルが準備できたら、Illustratorのフォーマットファイルを開いて読み込みます。

 

4)変数の設定をする

変数の設定ができたら、「テキストを動的に設定」のボタン(またはメニュー)から設定していく

4)データセットを切り変える

ステップアップ!写真と色帯を変更しよう

変数を使用して、テキストを入れ替える方法はわかったでしょうか?
それではステップアップ編として、次はこんな名刺を作成してみましょう。
それぞれの顔写真を入れるようにして、部署ごとにカラーを変更するようにします。

1)ベースとなるレイアウトを作ろう

まずは、前回同様、ベースとなるレイアウトを作成します。
基本的にはテキストだけの場合と同じ。写真が入るところはダミーで構わないので、写真を入れておきます。
このとき、ダミー画像は 必ず「リンク」で張り込んでおきます。マスクが必要な場合はクリッピングマスクも設定しておきます。
色帯の部分は、それぞれ着色したオビを作成して、レイヤーを別々にしておきます。
レイヤーを切り替えることで、色帯が切り替わるようにしておきます。

2)Excelデータを用意する

テキストのみの時と同様に、Excelデータを用意します。
このデータに、写真のデータと、色帯のデータも自動で切り替わるような設定をしていきます。

写真データは絶対パスを記入する

写真のファイル名は絶対パスを記入しなければなりません。

相対パスの取得のしかた

ファインダー上で、ファイルアイコンを選択して、optionキーを押すと
「○○をコピー」→「○○のパス名をコピー」になり、ファイルのパスをコピーできます。
(control+クリック、もしくは右クリックでコンテクストメニューを出しても同様にoption キーを押すことで同じことができます)

Excel上で@を入力するには

見出し部分「写真」の前に必ず@を入れなければなりません。ただ@を入力しようとしてもExcelの仕様上入力できません。@の前に「’」を入力すると入力できます。
または、CSVファイルに書き出したあとに、テキストエディタでファイルを開いて、「写真」の前に@を入力できます。 

 
帯部分のパラメーターを設定する

部署ごとに帯のカラーを変更したいので、以下のルールでパラメーターを設定して、Excelに入力していきます。

営業部・販売部……オレンジ=truth その他はfalse
クリエイティブ…… ベージュ=truth その他はfalse
総務     …… グリーン=truth その他はfalse

3)CSVファイルを読み込み、変数を設定

Excelの入力が完了したら、前回同様CSVファイルに書き出します。ここから先は同様の作業になりますが、写真の部分と、色帯の設定が必要になります。
テキスト部分は同様に設定したら、写真の変数設定をしてみましょう。写真のリンク箇所を選択したら、テキストの場合と同じように「オブジェクトを動的に設定」のボタンを押します、テキストの場合と同じですが、変数パレットには「リンクファイル」の文字がはいります。

続いて色帯部分の変数を設定します。
レイヤーを切り替えながら、色帯を選択したら、「表示を動的に設定」のボタンを押します。
設定完了すると
今回の場合は、オレンジ、ベージュ、グリーンの帯、すべてに変数を設定します。
変数が設定されると、今回の場合<長方形>の文字が入ります。

変数の設定が済んだら、データセットを切り替えると、文字とあわせて、写真、色の帯も変更されます。

バッチを使ってまとめて処理しよう

さあ、ここまででIllustratorの変数機能の使い方はわかったでしょうか?
データセットを切り替えながらそれぞれ印刷や保存等を行えばいいのですが、枚数が多い場合、いちいち1枚づつ作業していると、これもまた非効率です。
そこで、バッチ機能を使用して一括処理していきましょう。

バッチ機能は大量のファイルを一気に処理するのに適していてPhotoshopにも装備されています。
Photoshopで使い慣れている方は、基本的に使い方は同じです。

それでは、ここではバッチ機能を利用して、それぞれの名刺を印刷用のPDFに書き出してみましょう。

 

新規アクションを作成する

アクションパネルを開いて「新規アクション」を選択します。
アクション名をつけて実行すると、作業内容の記録がはじまります。
※このとき、「PDFで保存」のほかに、「別名保存」「プリント」など、実行したいアクション を登録することができるので、作業内容によって名前をつけます。

作業が終わったら、停止ボタンを押すと、アクションが登録されます。

バッチを実行する

アクションパネルから「バッチ」を選択し、以下のように設定します。
設定が済んだら実行します。

指定した保存フォルダにデータセットごとに分かれたファイルが保存されます。
(この場合はファイル名+連番を選択)

  • line
  • hatena
  • Pocket

関連記事