通常デザインといえば色や形など見た目に関するものをイメージされる方が多いと思いますが、実はそういった作業の前に行われるアイデア出しやプランニングも、デザイナーにとって重要なスキルです。
ちなみにそういった「デザインシンキング」は、ゼロベースで思考することで、潜在的なニーズを発見し、イノベーションを起こすといった問題解決のための考え方のことで、最近では様々な領域で重要視されるようになっています。
AIが台頭してくるこれからの時代においても、自分たちの価値を高めて、勝ち残っていくために有効なスキルになるのではないかと考えられています。
デザインシンキングは海外のビジネス現場でも重宝されている
デザインシンキングは、もともとアメリカや北欧などの地域を中心に広まり、そこから日本でも注目されるようになったスキルです。
次々と革新的なサービスやプロダクトをリリースし、私たちの生活に大きな影響を与えているGoogleやAppleなどの企業も、まさにこのデザインシンキングによって大きくスケールしてきた企業です。
デザインシンキングは、「問題をどうやって解決するか」という部分にフォーカスする前に、「いま取り組んでいる問題はそもそも解決すべきなの?」から考えて、本質的な問題の発見からアプローチしていくため、抜本的な改善につながりやすくなります。
GoogleやAppleに限らず、新しい革新的なサービスやプロダクトに海外発のものが多いのは、この「デザインシンキング」のスキルが広く浸透しているからかもしれません。
産業や事業をデザインする
デザインシンキングは、「何を問題と設定して解決するか」という問題設定からはじまるアプローチのため、サービスや商品だけではなく、産業や事業より大きな範囲にも応用することが可能です。
具体的な例えで言うと、「企業のブランドイメージを一新したい」「会社全体の売上が落ちてきたのでなんとかして巻き返しをはかりたい」といった経営に直接に関わってくる問題解決にも活用されています。これまでは、外部のコンサルティング会社が行なっていたサービスを、デザインシンキングにより提供することが可能になったりします。
産業や事業については、まず何が問題のボトルネックになっているかを発見するところから始まるため、最終的なアウトプットが色や形を使ってデザインすることを必要にならないかもしれません。
つまり、あくまでも経営における問題を特定してそれを解決する方法を考えるという目的でデザインシンキングが使われることになります。
デザインシンキングは社会問題の解決にも応用できる
デザインシンキングは、ビジネスの範囲だけにとどまらず、社会全体の問題解決にも応用されています。
ビジネスの場合、「企業の存在価値を高め、できるだけ長く企業を存在させる」という目的のためにデザインシンキングが利用されるわけですが、より大きな視点で「社会全体にとって本当に必要なことや本質的な問題を解決する」という目的でデザインシンキングを利用することも可能になります。
特に2011年3月の東日本大震災以降、これまでの価値観に縛られずに社会のために仕事がしたい人たちが増えており、今後さらに社会問題の分野でもこのデザインシンキングを活用したアプローチが増えていくことが予想されます。
今後はデザインシンキングとアウトプット力を兼ね備えたデザイナーが重宝される
デザイナーは最終的なアウトプットの見た目に関わる色や形をスタイリングする人、というイメージは既に過去のものになりつつあります。
今後さらにキャリアアップをしていくためにはデザインスキルと合わせて、アウトプットする前の「デザインシンキング」のスキルを身に着けることが大切な要素になってきます。
デザインシンキングは、デザイナー以外のビジネスパーソンも活用すべき考え方ではありますが、新しくプロダクトやサービスを作る際はデザイナーが上流から最終的なアウトプットまで全工程に関われることができれば良いものがうまれやすくなるはずです。
そして何より、実際にデザインとして形にする前のアイデアや企画が本質的に意味のあるものでなければ、いくら見た目が素晴らしくても企業が求める効果にはつながりません。
また、これまでのように広告やサイトといったものだけでなく、事業や社会に対しても成果を上げるデザインができるかどうかが、今後のデザイナーにとって、さらに重要なスキルになってくるかもしれません。
まとめ
デザインシンキングは企業のイノベーションにつながるだけでなく、デザイナーの可能性をより拡げてくれるアプローチです。
デザイナーとしてさらなるキャリアアップを望んでいる人はぜひ身に付けていきましょう。